毛深くなるのはプロペシアではなくミノキシジルです
発毛剤にはいくつかの種類がありますが、プロペシアに含まれている有効成分であるフィナステリドの主な目的は抜け毛を予防することです。その過程で毛髪の量が回復する効果も期待できるのですが、基本的にはヘアサイクルを整えて毛髪の健全な成長を促す効果が期待されています。
ネット上にはプロペシアを服用すると毛深くなるなどと説明しているサイトもありますが、医学的に考えるとそのようなことはあり得ません。
服用することで毛深くなるのはプロペシアではなくミノキシジルです。
プロペシアの目的は抜け毛予防です
日本で「発毛効果がある」と認可されている成分は、「フィナステリド」・「デュタステリド」・「ミノキシジル」の3つだけです。フィナステリドを配合している男性型脱毛症(AGA)の治療薬として代表的なものがプロペシアです。
フィナステリドには男性の薄毛の原因となる5α-リダクターゼという還元酵素の働きを妨げ、抜け毛を予防する効果があります。
5α-リダクターゼには1型と2型の2種類があり、1型の5α-リダクターゼは全身の皮脂腺に、2型の5α-リダクターゼは頭頂部や前頭部の毛包部に多く分布して地ます。
プロペシアの有効成分であるフィナステリドには、おもに2型の5α-リダクターゼの働きを阻害する働きがあるということです。そのため男性に特徴的な頭頂部や前頭部の薄毛を改善する効果が期待されている訳です。
デュタステリドもフィナステリドと同様、5α-リダクターゼの働きを阻害することで抜け毛を予防する効果が期待されています。デュタステリドを配合した発毛剤としてはザガーロが有名です。
プロペシアもザガーロも男性ホルモンが活発になりすぎないようにホルモンバランスを整えてくれます。その結果としてホルモンバランスが正常になった時の頭皮環境のレベルにまで、毛髪を回復してくれるでしょう。
薄毛の男性は毛深いイメージがあるのではないでしょうか。なぜなら男性ホルモンが活発だと毛深くなると考えられるからです。
プロペシアの有効成分であるフィナステリドはむしろ男性ホルモンを不活発にさせる訳ですから、理屈から考えてもプロペシアを服用することで毛深くなることはありません。
毛深くなるのはミノキシジルです
厚生労働省によって発毛効果があると認可されている成分の1つがミノキシジルなのですが、国内では塗り薬タイプのミノキシジルだけが認可されています。ただ男性型脱毛症を専門としている病院やクリニックでは、ミノキシジルの錠剤(ミノキシジルタブレット)もよく用いられています。
ミノキシジルの歴史は意外と古く、1960年代にはアメリカで高血圧の治療薬として用いられていました。
ところがミノキシジルを服用している人に発毛や体毛が濃くなるといった現象が見られたため、発毛剤して転用されるようになったのです。
ミノキシジルには血管を拡張する効果があるため、血行を促進して頭皮環境を整え、髪の毛が育つ土壌を整えるという効果が期待されています。
ミノキシジルはあとに心臓への負担をかえって増すことが分かってきたため、現在では心疾患の治療に用いられることはありません。
ミノキシジルタブレットがなぜ男性型脱毛症(AGA)の治療に用いられるかというと、頭皮に塗布するよりも薬効が高いからです。内服した錠剤は血管の中に入り、全身へと繰られます。
そのため頭皮に塗布するタイプのミノキシジルよりも高い効果が期待できるのです。ただしミノキシジルの成分が全身へと送られるため、毛深くなるというデメリットもあります。
AGA治療にはプロペシアとミノキシジルの併用がおすすめです
男性型脱毛症(AGA)の治療を行っている多くの病院やクリニックでは、プロペシアとミノキシジルの併用を推奨しています。なぜならプロペシアとミノキシジルをそれぞれ単体で用いるよりも高い発毛効果が得られるからです。
ミノキシジルタブレットを服用すると血管が拡張し血行が促進されます。血行が促進したところにプロペシアを服用することで、より効率的にプロペシアの有効成分を頭皮に届けられるからです。
ただしプロペシアもミノキシジルタブレットも化学的に製造された医薬品なので、薬効だけでなく副作用もあります。
プロペシアには男性機能の低下や肝機能障害といった副作用が、ミノキシジルタブレットには、血圧低下や心拍数増加といった副作用が報告されています。
とくにミノキシジルは血液循環に関わる働きを持っているので、心疾患を持っている人や低血圧の人は服用が禁止されています。
プロペシアもミノキシジルタブレットも通販で購入できますが、最初は必ず医師の診察を受けるようにしましょう。
(まとめ)プロペシアを飲むと毛深くなる?
プロペシアは抜け毛の原因物質の産生を抑制することで、ヘアサイクルを改善して髪の毛の健全な成長を促します。
原則としてプロペシアを服用して、毛深くなるようなことはありません。
プロペシアに配合されている有効成分のフィナステリドには、男性ホルモンが活発になりすぎないよう、ホルモンバランスを整えてくれます。
医学的に考えれば、男性ホルモンが不活発になれば、体毛はむしろ薄くなります。
プロペシアには毛深くなるようなデメリットがありませんが、ミノキシジルタブレットを服用した場合、有効成分が全身へと送られるため、毛深くなるというデメリットがあります。
プロペシアとミノキシジルタブレットは違った方向からのアプローチで発毛を促すため、併用することが推奨されています。
ただし副作用のデメリットがあるので必ず医師の指導を仰ぎましょう。