プロペシアの服用で睡眠障害を発症するのは極めて稀です
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬としてよく知られています。プロペシアも化学的に製造された医薬品である以上、副作用の影響から完全に逃れることはできません。
プロペシアの副作用としては勃起機能不全やオーガズム異常、性欲の減少などといった男性機能の低下がよく知られています。また頻度こそ低いもののその他副作用もあるということです。
生殖器関係以外の副作用としては、肝機能障害のリスクがあげられています。
また過敏症として、掻痒感・発疹・蕁麻疹が見られるほか、抑うつ症状・めまい・睡眠障害といった副作用を訴える人もいるということです。
プロペシアと睡眠障害の間に明確な関係は認められていません
プロペシアには厚生労働省によって「発毛効果がある」と認められているフィナステリドという有効成分が含まれています。フィナステリドがもつ働きとは、男性型脱毛症(AGA)のリスクファクターとなる「5α-リダクターゼ」の分泌を抑えるというものです。
5α-リダクターゼは、男性ホルモンであるテストステロンが、より強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロンへと変化する際に、触媒としての役目を果たす分泌物です。
ジヒドロテストステロンはアンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容器)と結びつくことで、有害なサイトカインの一種である「TGF-β」を産生します。
TGF-βは退行期誘発因子とも呼ばれており、ヘアサイクルの周期を乱し、抜け毛のリスクを高める原因の一つです。
フィナステリドには、この5α-リダクターゼの働きを阻害する作用があるため、ジヒドロテストステロンの分泌を抑制し、抜け毛を予防することにつながるのです。
フィナステリドは男性ホルモンにアプローチする薬品のため、副作用としては、男性機能の低下がみられます。しかし人間の睡眠に関する副作用について、公式的な見解はありません。
このため明確な関係性は認められておらず、睡眠障害がプロペシアの副作用であるとは断言できないでしょう。
プロペシアの服用中に睡眠障害が起こるケースは稀です
プロペシアと睡眠障害との関係について説明する前に、まずは睡眠障害とはどのようなものなのかを知っておきましょう。
睡眠障害というと「なかなか寝付けない」というイメージを持っている人もいるかもしれません。
正確には寝つきが悪い(入眠障害)のも睡眠障害の一種です。睡眠障害には入眠障害以外にも、中途覚醒・熟眠障害・早朝覚醒の合計4タイプがあります。
寝付けないだけでなく、夜中に何度も目が覚めたり目覚ましがなる前に起きたり、朝になっても寝た気がしなかったりするのも睡眠障害という訳です。
プロペシアの有効成分であるフィナステリドには、脳神経に作用する働きがないという日本神経学会の報告があげられます。
フィナステリドを服用中の男性の中に、若年性脳卒中で亡くなったケースが2例あるのですが、いずれも脳神経や運動神経とは何の関わりもないということです。
またプロペシアの販売元であるMSDの添付文書にも抑うつ症状の報告はあるものの、睡眠障害に関する言及はありません。
とはいうものの実際にプロペシアを服用して、睡眠の質が低下したという人がいるのも事実です。その場合に考えられることとしてはプラセボ(偽薬効果)があげられます。
プロペシアは医師の指導下で服用することが重要です
プロペシアの販売元であるMSDの添付文書にも睡眠障害の副作用は報告されていません。しかしプロペシアも化学的に製造された医薬品である以上、なんらかの副作用の現れる可能性があることは否定できないでしょう。
そのためプロペシアの服用は医師の指導下で行うことが重要です。たとえば偏った知識のもとで服用した結果、プラセボにより効果が生じることがあります。
プラセボとは日本語で「偽薬」を意味します。薬効のない物を服用しているのに、薬の効果が現れたり副作用が現れたりすることをプラセボと呼んでいるのです。
たとえば風邪薬と偽って小麦粉を飲ませたときに、風邪の症状が緩和するなどといった例もあげられています。また医師の声かけによって症状が楽になるケースもあるようです。
反対に「薬は身体に悪いもの」と決めてかかっていると、通常では現れない副作用が現れることも考えられます。
このようなことが起こらないためにも、医師の指導のもと症状変化を見守ることが大事なのです。
(まとめ)プロペシアを服用すると睡眠障害になる?
プロペシアの代表的な副作用が男性機能の低下ですが、その他にも過敏症や肝機能障害といった副作用があるということです。
また頻度こそ少ないものの睡眠障害を訴える人もいるようです。
プロペシアの有効成分であるフィナステリドは男性ホルモンにアプローチするため、副作用として男性機能の低下が見られます。
睡眠障害に関しては、明確な関係は認められていません。
プロペシアの有効成分であるフィナステリドには脳神経や運動神経に対する作用がありません。
プロペシアを服用していて睡眠障害を発症した場合、プラセボの可能性があります。
プロペシアを服用しても睡眠障害が起こることは考えにくいですが、プラセボで睡眠障害にならないという可能性もゼロではありません。
プロペシアは医師の指導下で服用することが重要です。