AGA治療としてまず検討されるのが、内服薬や外用薬です。AGA治療薬のなかでもミノキシジルの外用薬は、一般用医薬品として薬局でも購入できます。タブレットタイプの内服薬は、クリニックでの処方が必要です。いずれもAGA改善効果が期待できますが、留意しておきたい副作用がいくつかあります。本記事ではミノキシジルについて、気になる効果や副作用、内服薬を利用する際に注意すべき点をご紹介します。
AGA治療薬のミノキシジルの効果
ミノキシジルは、AGA治療に用いられる代表的な治療成分の1つです。もともとは、高血圧症の患者向けに開発された薬でした。しかし発毛効果が発見され、現在では日本国内でもAGA治療薬として広く利用されています。外用薬であれば、市販でも入手が可能です。主な効果は次の2つがあります。
血行促進効果の効果
ミノキシジルは血管を拡張して、血行を促進させる効果があります。これにより髪に必要な栄養が細胞に行き届くようになり、髪の育毛・発毛を促すことにつながります。
毛母細胞活性化の効果
髪は毛母細胞が分裂を繰り返すことで成長します。ミノキシジルは、この毛母細胞の死滅を抑え、細胞分裂を活性化させる作用があります。これにより髪の成長が促され、脱毛を抑制するといわれています。
ミノキシジルの外用薬と内服薬
ミノキシジルは内服薬と外用薬がありますが、内服薬は国内で未承認です。
ミノキシジルはもともと高血圧の薬として使用されていました。処方する量や含有量によって頭痛や動悸、不整脈などの副作用の報告があることから、市販されているミノキシジルは外用薬のみとなります。
ミノキシジルの内服薬を利用する場合は、専門クリニックで検査をしたうえで医師から適切に処方してもらう必要があります。
ミノキシジル外用薬の使用方法・詳細情報
ミノキシジルの外用薬は、患部に直接塗布するスプレータイプが一般的です。1日2回朝・夜の時間帯に塗布します。合わせて頭皮マッサージをするとさらに効果的です。市販の外用薬のミノキシジルの濃度は、5%までと定められています。5%以上の外用薬を利用する場合は、検査と診察のうえで医師が処方したものに限り使用可能です。
使用方法 | 1日2回、患部に直接塗布1回につき5〜6プッシュ |
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効果 | 血行促進・毛母細胞活性化による発毛効果 |
効果が出るまでの期間 | 最短3〜4ヵ月 |
副作用 | 皮膚の炎症・赤み・かゆみ・初期脱毛など |
ミノキシジル外用薬のAGA治療症例
施術前
49歳男性ハミルトン・ノーウッド分類V
施術 4ヶ月後
外用のみでわずか4ヶ月でこの効果です
施術の説明:薄毛治療には、薬による治療、レーザーや注射で頭皮に薬剤を注入する治療、自分の毛を移植する自毛植毛などがあります。
施術の副作用(リスク):赤み、熱感、初期脱毛、切れ毛、抜け毛、施術範囲のざ瘡の悪化、コメド、毛嚢炎、膨隆、色素沈着、点状出血、内出血、腫脹、灼熱感、瘢痕が生じることがあります。
施術の価格:1,800円~1,890,000円
ミノキシジル内服薬の使用方法・詳細情報
ミノキシジルの内服薬は、体内に直接取り込むことで血中から作用するため、外用薬よりも効果が高いといわれています。しかし効果が高い分、副作用のリスクも少なからずあるといいます。詳しい副作用については後述します。
内服薬は国内では未承認ですが、検査をしたうえで医師の処方のもと使用が可能です。フィナステリドと異なり、女性が服用しても問題ない治療薬であるため、女性の薄毛(FAGA)の治療でも利用されています。
使用方法 | 用量・用法を守って1日1回服用 |
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効果 | 血行促進・毛母細胞活性化による発毛効果 |
効果がでるまでの期間 | 最短3〜4ヵ月 |
副作用 | 初期脱毛・息切れ・頭痛・たちくらみ・むくみ・多毛症・肝機能障害・心疾患 |
ミノキシジル内服薬のAGA(FAGA)治療症例
施術前
術前
施術 6ヶ月後
6カ月後
施術の説明:内服薬は体の内側からAGAの進行を止め、発毛しやすい環境に体を整え、外用薬で直接、毛根に発毛促進を働きかける治療方法です。
施術の副作用(リスク):内服開始から1~2ヶ月は初期脱毛が見られることがあります。また、発赤、痒み、発疹などお肌のトラブルなどが生じることがあります。
施術の価格:5,940円
施術の説明:内服薬は体の内側からAGAの進行を止め、発毛しやすい環境に体を整え、外用薬で直接、毛根に発毛促進を働きかける治療方法です。
施術の副作用(リスク):内服開始から1~2ヶ月は初期脱毛が見られることがあります。また、発赤、痒み、発疹などお肌のトラブルなどが生じることがあります。
施術の価格:4,990円~50,720円
ミノキシジルの主な副作用
ミノキシジルは、外用薬と内服薬とで副作用が異なります。患部に直接つける外用薬は、皮膚トラブルなどが主な副作用です。内服薬の場合は、体内に取り込むため、動悸やめまいなどの副作用が現れることがあります。ただし、いずれも副作用の発生率は比較的低いといわれています。
ミノキシジルを利用する際に留意しておきたい、主な副作用を紹介します。
皮膚の炎症(外用薬)
皮膚の炎症は、外用薬を使用した場合にみられる副作用です。頭皮に炎症・赤み・かゆみなどが生じる場合があります。頻繁に起こる副作用ではありませんが、肌に異常を感じたらまずは医師に相談して、場合によっては別の治療法を検討しましょう。
初期脱毛
初期脱毛は、AGA治療開始の初期に抜け毛が増加する副作用です。一時的な抜け毛であり、ミノキシジルに限った副作用ではありません。古い毛髪が抜け落ちて、新しく生え変わるための一時的な脱毛症状であるため、治療を中断せずに継続することが大切です。
息切れ・頭痛・立ちくらみ
ミノキシジルは血管拡張効果があることから、息切れ・頭痛・めまい・立ちくらみを引き起こす場合があります。特に高血圧・低血圧・心疾患のある方は、要注意です。ごくまれに心疾患が悪化する場合もあります。
顔や足のむくみ
血管拡張効果によって、血液量が過剰になり一時的に顔や足のむくみが生じる場合があります。あくまで一時的な副作用で、経過とともに改善するケースがほとんどです。しかし万が一症状が改善しないなどの異常を感じたら、服用を中断して速やかに医療機関を受診しましょう。ごくまれに心機能が低下することで、むくみが生じているケースがあるといいます。
体毛の増加
体内に取り込む内服薬は、頭皮だけでなく全身に成分が巡るため、体毛が濃くなる場合があります。効果がでている証拠でもありますが、気になる方は別の治療法を検討したほうがよいかもしれません。
肝機能障害
体内に取り込んだミノキシジルの成分は、肝臓で代謝されます。肝臓に負荷をかけてしまう場合があり、ごくまれに肝機能障害を起こすリスクがあります。重篤な副作用ではありますが発生頻度は極めて少なく、またミノキシジルに限った副作用ではありません。過度な心配は不要ですが、肝機能障害等の既往歴があれば、必ず医師に伝えてください。
ミノキシジル内服薬を使用する際の注意点
内服薬が国内で未承認なのは、副作用に対する懸念が1つの理由だといえます。しかし外用薬よりも薬物活性が高く、よりAGA改善効果が期待できる治療薬でもあるため、クリニックで処方されることが多々あります。使用に際しては用量用法を正しく守るとともに、次の注意点を押さえておきましょう。
必ずクリニックで処方してもらう
何度も申し上げているとおりですが、必ず検査を受けたうえで医師から処方してもらいましょう。個人で安価な薬を輸入して服用することも可能ですが、信頼できる医療機関での受診を強くおすすめします。人によっては重篤な副作用が生じる場合があります。しっかり検査を受け、医師が使用の可否と使用量を適切に判断した場合のみ服用してください。
高血圧・低血圧・狭心症の方は使用可否を相談する
ミノキシジルはもともと血圧降下剤として使用されてきました。そのため、血圧が不安定な方、心疾患をおもちの方などは、重い副作用が生じるリスクがあります。必ず医師に相談し、使用の可否判断に従いましょう。
妊活中・妊娠中の女性の服用はしない
ミノキシジルは男女ともに服用できる内服薬ですが、妊活中・妊娠中の女性は服用は控えた方がよいとされています。特に妊娠中は胎児に悪影響を及ぼす恐れがあるといわれています。いつ妊娠するかわからない妊活中も、ミノキシジルの内服は控えることが望ましいといえます。
ミノキシジルとフィナステリド・デュタステリドとの併用
AGA治療に用いられる治療薬は、ミノキシジルの他にフィナステリドとデュタステリドがあります。これらの治療薬は得られる効果やメカニズムが異なり、併用することで発毛効果が高くなることが期待できます。
しかし併用する際には、クリニックでカウンセリングを受け、適切に処方してもらいましょう。
ミノキシジル・フィナステリド・デュタステリドの特徴を以下にまとめました。
成分名 | ミノキシジル | フィナステリド(プロペシア) | デュタステリド(ザガーロ) |
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使用方法 | 1日1回服用または患部に直接塗布 | 1日1回服用 | 1日1回服用 |
効果 | 血行促進・毛母細胞活性化による発毛効果 | 5α-リダクターゼⅡ型の抑制・ヘアサイクルの正常化 | 5α-リダクターゼⅠ型とⅡ型の抑制・ヘアサイクルの正常化 |
効果を実感するまでの期間 | 最短で3〜4ヵ月 | 最短で2〜3ヵ月 | 最短で2〜3ヵ月 |
副作用 | 初期脱毛・皮膚炎・動悸や息切れ・頭痛やめまい・むくみ・多毛症・肝機能障害・心疾患 | 初期脱毛・性欲減退・勃起機能障害(ED)・肝機能障害・うつ・精子減少 | 初期脱毛・性欲減退・勃起機能障害(ED)・肝機能障害・うつ・精子減少・乳房障害・蕁麻疹 |
フィナステリド(プロペシア)の効果
フィナステリドは、日本国内でも効果があるとして承認されている安全なAGA治療薬です。悪玉男性ホルモンの「ジヒドロテストステロン」の元となる、5α-リダクターゼⅡ型を抑える働きがあります。ジヒドロテストステロンはヘアサイクルを狂わせ、AGAを引き起こす原因の1つです。フィナステリドは、ジヒドロテストステロンの発生を未然に防ぐことでAGAの進行を食い止め、髪の成長サイクルを整える効果があります。
デュタステリド(ザガーロ)の効果
デュタステリドは、同じく日本で承認されている安全な治療薬です。効果はおおむねフィナステリドと同様ですが、5α-リダクターゼⅠ型を抑制するとともに、Ⅱ型も抑える働きがあります。発毛効果においては、フィナステリドより約1.6倍上回るという報告もあります。
併用する場合は、カウンセリングを受けるようにしましょう
フィナステリドやデュタステリドは、国内でも認められた安全性の高い薬剤です。
ミノキシジルとは、作用機序の異なる薬剤であるため併用が可能です。併用することでAGA改善の効果が高まるといえます。
しかし薬剤である以上、副作用が起こらないとも言い切れません。併用するのであれば、事前に医師に伝えるようにしましょう。何らかの不調が現れた場合には、早めに処方された病院を受診してください。しっかりと自分の体調を伝え、医師の判断に従いましょう。
また、市販の風邪薬等との併用に関しても、基本的に問題はありません。しかし高血圧症のための治療薬など、併用不可の薬もなかにはあるため、普段服用している薬は事前にカウンセリングで伝えておくことが大切です。
まとめ
ミノキシジルは、広く利用されているAGA治療薬の1つです。血行促進、毛母細胞の活性化などの効果があり、外用薬は市販でも気軽に手に入ります。内服薬の利用に際しては、必ず医師から処方してもらいましょう。人によっては、ごくまれに重篤な副作用が現れるケースがあります。他の薬との併用は基本的に問題ありませんが、併用する場合は医師に必ず相談しましょう。
湘南AGAクリニックでは問診・診察をおこない、専門医による使用可否と使用量を判断したうえで、適切な治療薬を処方しています。AGA治療は、ご自身の希望や予算に合った治療を選択することが大切です。ミノキシジルはもちろん、AGA治療薬のご使用に関する不安や疑問がある方は、まずはお気軽にご相談ください。