フィナステリド錠の服用でコレステロールが高くなることがあるようです
結論からいうと、フィナステリド錠の服用によってコレステロール値が上がることは、極めて稀にですがあると言います。国内で用いられているフィナステリド錠としてはプロペシアがありますが、プロペシアには二十盲検比較試験(治験)の段階でコレステロール値の上昇という副作用がみられています。
ただその確率は全体の0.3%とそれほど高い数値とは言えませんし、二十盲検比較試験の特性上、フィナステリドだけがコレステロール値の上昇にかかわったかどうかが不明です。
そもそもプロペシアの有効成分であるフィナステリドは、厚生労働省の厳格な審査に合格した比較的安全な有効成分です。
フィナステリドがコレステロール値を左右するとは考えにくいです
フィナステリド錠の服用によってコレステロール値が左右されるということは考えにくいです。というのも2015年に食品に関するコレステロール値の基準が撤廃されるまで、コレステロールこそが身体にとって有害だと考えられていたからです。
そのためコレステロール値が気になる人は、卵は1日に1個までにするようにとか、魚卵や甲殻類は避けるようにとか言われていた訳です。ただ食品がコレステロール値に影響を及ぼすことはほとんどないことが分かってきています。
国内で用いられているフィナステリド錠として有名なプロペシアは、2005年の10月にAGA(Androgenetic Alopecia)男性型脱毛症として承認されています。つまり厚生労働省によるコレステロール値の見直しより前ということです。
仮にプロペシアの有効成分であるフィナステリドにコレステロール値を左右する働きがあったのなら、厚生労働省によって認可されている訳がありません。
また動脈硬化学会もきっと反対したことでしょう。そのような否認や反対がなかったということは、フィナステリドによってコレステロール値が左右されることはないということの裏返しともいえるのではないでしょうか。
フィナステリドには肝機能障害のリスクがあります
フィナステリドには、重要な副作用として肝機能障害のリスクがあるとされています。このことが、フィナステリド錠の服用によってコレステロール値が左右されるという「俗説」につながっているものと思われます。
たしかにフィナステリド錠が認可される前の治験段階で、フィナステリド錠の服用によってコレステロール値が上がったというケースもあります。ただそれは全体の0.3%でしかなく、明らかにフィナステリド錠の服用によってコレステロール値が上がったと断言できるレベルではありません。
またフィナステリドによる肝機能障害のリスクを逆手に、コレステロール値を左右すると主張する向きもありますが、そもそも医薬品であればすべからく肝機能障害を発生するリスクがあるものです。
国内で用いられている代表的なフィナステリド錠であるプロペシアは、副作用によって肝機能障害が起こった例が0.2%であると公表しており、しかも国内での発祥例はないとしています。
そもそもプロペシアには服用に際しての制限がかなり少なく、それだけ安全性が高い医薬品とも言えるのです。
フィナステリドの主な副作用は男性機能の低下です
プロペシアのようなフィナステリド錠は服用に際しての制限がとても少なく、副作用のリスクもそれほど高くない、比較的安全な男性型脱毛症の治療薬ということですが、それでも医薬品である以上は副作用のリスクを避けられません。
ではフィナステリド錠にどのような副作用のリスクがあるのかと言うと、それは主に男性機能の低下です。
プロペシアの国内販売元であるMSD株式会社がおこなった二十盲検比較試験の結果、1.1%(276例中3例)にリビドー(性欲)の減退が見られ、0.7%(同2例)に勃起機能不全がみられたということです。またプロペシア販売後の使用成績調査において、0(943例中2例)2%にリビドーの減退がみられたということです。
とはいうものの男性機能の低下という副作用もそれほど高いものではありませんし、治験は患者さんにも知らせずにおこなわれるものであるため、フィナステリドが決定的な要因となっているとも限りません。念のために男性機能低下を避けたい人は、気をつければよいというレベルでしょう。
(まとめ)フィナステリド錠の服用でコレステロールが増える?
フィナステリド錠を服用すると極めて稀なケースですが、コレステロール値が上昇するケースも見られるということです。ただ治験の結果コレステロール値の上昇がみられるのは全体の0.3%に過ぎず、コレステロール値を大幅に左右するとは考えにくいです。
フィナステリドがコレステロール値を左右するとは考えにくいです。なぜならフィナステリドは厚生労働省によって認可され有効成分だからです。明らかにコレステロール値を左右するようであれば、認可の運びにはならないことでしょう。
フィナステリド錠には肝機能障害のリスクがありますが、全体で見ると0.2%と非常に低いうえ、国内での発症例はありません。また医薬品が肝機能障害のリスクを高めるのは、何もプロペシアに限ったことではありません。
フィナステリドの主な副作用は男性機能の低下で、治験の結果1.1%にリビドーの減退がみられ、0.7%に勃起機能不全がみられたということです。ただ実際に使用した人の副作用はそれ以下であり、それほど心配する必要はないでしょう。