AGA治療薬の主成分フィナステリドを摂取することには副作用のリスクが伴う
AGA治療薬の主な成分フィナステリドは男性型脱毛症(AGA)の進行防止に有効ですが、フィナステリドを摂取することには副作用のリスクも伴います。また、これは代表的なAGA治療薬プロペシアやそのジェネリック製品(フィンペシアやフィナロ)についても同様のリスクがあるとされています。
そもそも、プロペシアをはじめとして化学的に製造された医薬品には、必ず主作用と副作用があります。主作用とは病気などによる症状を緩和したり、熱を下げたりする働きのことで、医薬品に期待される本来の働きのことを主作用と呼びます。副作用は主作用以外の身体にとって好ましくない働きのことをいいます。
しかし、ほとんどの医薬品は服用したからといって重篤な副作用が出るようなことはありません。なぜなら医薬品ができるまでには、何度も安全性などの試験をおこなっているからです。
基礎研究を終えた医薬品の効果や毒性などは、まず動物を用いた非臨床試験で確認されます。次に人間に対する安全性や効果を確認する試験がおこなわれますが、そのことを「治験」と呼んでいます。
治験を済ませた医薬品の安全性や有効性が医薬品医療機器総合機構において確認されると、晴れて製造・販売が許可されることとなるのです。ただし、製造販売後も継続して有効性や安全性の調査はおこなわれます。
このように医薬品は厳格なチェックの下で製造・販売されているため、大きな副作用が起こることは少ないのです。フィナステリドにおいても先述した副作用はあるものの、臨床試験をパスしている治療薬・成分であるため、副作用のリスクは少ないといえます。
AGA治療薬フィナステリドの主な副作用
フィナステリドには以下のような様々な副作用が報告されています。
- 男性機能低下
- 肝機能障害
- 初期脱毛
- うつ など
男性機能低下
まず初めにあげられるフィナステリドの主な副作用は、リビドー(性欲)の減退や勃起機能不全、射精障害や精子量の減少といった男性機能の低下です。これに関してはプロペシアの国内販売元であるMSD株式会社による調査結果があります。
MSD株式会社のおこなった臨床試験(48週にわたる二十盲検比較試験)によると、全276例のうち3例(1.1%)に性欲の減退が見られ、2例(0.7%)に勃起機能不全が見られたということです。またプロペシアの販売後もMSD株式会社では使用成績調査をおこなっています。使用成績調査の結果によると、全943例のうち2例(0.2%)に性欲の減退が見られたということです。
肝機能障害
フィナステリドの服用により食欲不振や吐き気、倦怠感、むくみなどの肝機能障害が発生することがあります。MSD株式会社の使用成績調査の結果によると、全943例の内2例(0.2%)に肝機能障害が見られたとのことです。なお、肝機能障害は重大な副作用ではありますが、それがプロペシアによるものなのかどうかは不明であり、発症頻度も不明とされています。
なお、どの医薬品を服用する際にも肝臓への負担はかかるものであり、フィナステリドのみが特別に危険性が高いというものではありません。
ただ肝機能障害に関しては国内での発症例はないということです。いずれにせよプロペシアの服用中に何か異変がみられた場合、かかりつけの医師に相談するようにしましょう。
初期脱毛
初期脱毛とは、フィナステリドを服用し始めて1〜2ヶ月後に現れる副作用です。ヘアサイクルを正常に戻すための準備期間のようなもので、ほとんどの方に現れる症状ですので、心配する必要はありません。3ヶ月程度で初期脱毛がおさまり、毛が生えてきます。
なお、初期脱毛が始まった際に、焦って服用を中止してしまうケースが見られます。その場合、思った効果は得られず、逆戻りという状態になってしまうため注意が必要です。
フィナステリドの副作用初期脱毛について詳しく見る
うつ
発症率はわずか1%とまれな副作用ではありますが、抑うつの症状が出る場合があります。フィナステリドの男性ホルモンを抑制する作用により、体内のホルモンバランスが乱れることが関係している可能性が考えられます。
その他
上記のほかにも発生する可能性のある副作用については以下の内容が報告されています。
- 乳房圧痛・肥大
- 発疹
- 睾丸痛
AGA治療薬の主成分フィナステリドの効果やメカニズム
そもそもフィナステリドとは、米国FDA(医薬品局)から認可を受けているAGA治療薬プロペシアの成分の1つです。薄毛の進行を防ぐ効果とヘアサイクルを正常に戻す効果があります。
主な作用として、男性型脱毛症の原因の1つである「5α-リダクターゼ」と呼ばれる還元酵素の働きを阻害する効果があります。
5α-リダクターゼは男性ホルモンであるテストステロンがより強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)へと変化する際、触媒としての働きをします。このジヒドロテストステロンが増えるとヘアサイクルが乱れ、抜け毛の量が増えてしまい男性型脱毛症が進行するのです。5α-リダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類がありますが、フィナステリドは主にⅡ型の5α-リダクターゼの働きを阻害する効果があります。Ⅱ型の5α-リダクターゼは主に頭頂部や前頭部の毛包部に多く分布しています。
そのためフィナステリドによってⅡ型の5α-リダクターゼの働きを阻害することができれば、頭頂部や前頭部に見られる、いわゆる「O字ハゲ」や「M字ハゲ」の予防効果が期待できるのです。
AGA治療の有効成分フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルの違い
AGA治療薬として用いられる成分はフィナステリドだけではありません。他にも「デュタステリド」や「ミノキシジル」という治療に有効な成分があります。
それぞれの違いについては以下のとおりです。
フィナステリド | デュタステリド | ミノキシジル | |
---|---|---|---|
期待できる効果 | 5α-リダクターゼⅡ型を抑制 | 5α-リダクターゼⅠ型とⅡ型を抑制 | ・発毛因子を増殖 ・脱毛を抑制 |
効果が出るまでの期間 | 最短で約2〜3ヶ月 | 最短で約2〜3ヶ月 | 最短で約3〜4ヶ月 |
副作用 | 初期脱毛 性欲減退 勃起機能障害(ED) 肝機能障害 うつ 精子減少 睾丸痛 発疹 |
初期脱毛 性欲減退 勃起機能障害(ED) 肝機能障害 うつ 精子減少 乳房障害 蕁麻疹 食欲不振 全身倦怠感 |
初期脱毛 皮膚炎 動悸 息切れ 頭痛 めまい むくみ 肝機能障害 心疾患 |
AGA治療薬フィナステリドの服用方法と服用時の注意点
フィナステリドの服用方法は1日1回1錠です。医師の処方のもと、用法用量を守って正しく服用しましょう。
なお、フィナステリドの有効性と安全性は、成人男性のみ確認されています。女性や子どもは、服用することで悪影響を与えてしまう可能性があるため服用は禁忌です。また、フィナステリドは皮膚からも吸収するため、女性や子どもが薬に触れないように注意しましょう。
治療薬の副作用とは関係なく体調が変化してしまう「プラセボ効果」とは
AGA治療薬に限らず、治療薬を初めて使用する際には「副作用が出るのではないか」と思い込んでしまうことがあるかもしれません。その際に薬の影響ではない部分で体調の変化が起こってしまう場合があります。
この思い込みによって身体に影響が出てしまうことを「プラセボ効果」と呼び、様々な治療薬の服用において発生する可能性があります。
AGA治療薬の副作用を感じた場合の対処
プラセボ効果をはじめとして、AGA治療薬の副作用を感じた場合、どのように対処するべきなのでしょうか。
最優先に考えられるのが「医師へ相談する」ということです。
基本的にAGA治療薬を服用する際には、求める結果やそれに対する方法を検討したうえで処方されます。そのため、服用を途中でやめてしまうと思っていた結果が得られないことになるでしょう。また、自己判断で服用量を減らすことも、効果が得られない可能性に影響します。医師が必要と判断した場合に、減薬や種類の変更を行うようにしましょう。
そのため、AGA治療薬の服用により副作用を感じた際は、まずはじめに担当の医師へ確認・相談することが必要です。細かな悩みや違和感は自己解決で終わらせず、しっかりと解消したうえで服用を続けることが長期的にAGA治療を行う際のポイントとなります。
また、細かな悩みについてはオンラインでの相談も活用できます。
医師へ確認したいことがある一方、空き時間を見つけるのが難しいという場合にはぜひ活用することをお勧めします。
湘南AGAクリニックのオンライン診療について詳しくみる
まとめ
ここまでフィナステリドの副作用についてご覧いただきました。AGA治療薬プロペシアの主成分であるフィナステリドには、Ⅱ型の5α-リダクターゼの働きを阻害する効果があります。またそれによって、男性型脱毛症に特有の前頭部や頭頂部に見られるM字ハゲやO字ハゲの改善効果が期待できるのです。
ご紹介したように、フィナステリドをはじめとした医薬品には、必ず主作用と副作用があります。ただしフィナステリドは厳格な審査を経て販売されているのでそれほど大きな副作用はありません。万が一副作用を発症した場合は、速やかに医師に相談しましょう。